【ファイナルラウンド プレビュー】いよいよ決戦! 濃密な 2 日間を楽しもう
2021年3月9日
【ファイナルラウンド プレビュー】
いよいよ今週末、3 月12日 (金) と13日 (土) に「第96回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドがおこなわれる。舞台は東京2020オリンピックのバスケットボール会場でもある、さいたまスーパーアリーナ。厳しい下位ラウンドを勝ち上がりファイナルラウンドの舞台に上がってきたのはアルバルク東京、宇都宮ブレックス、川崎ブレイブサンダース、そしてシーホース三河である。
セミファイナルの第 1 試合で対戦するのは A 東京と宇都宮
B.LEAGUE の 2 シーズン目と 3 シーズン目で連覇を達成した A 東京だが、近年の天皇杯では思うような成績を残せていない。特に 3 年前、全国各地で下位ラウンドをおこなう「ラウンド制」になった第93回大会ではファイナルラウンド進出を逃す憂き目にも遭っている。その後、彼らが B.LEAGUE で初優勝するのは周知のとおりだが、こと「天皇杯」という点だけで見れば、8 年間も頂点から遠ざかっている (前回優勝は前身のトヨタ自動車時代。第87回大会)。
一方の B.LEAGUE 初代チャンピオンの宇都宮だが、実は天皇杯を手にした経験が一度もない。最高成績は第94回大会と第91回大会の準優勝。昨年度も準決勝まで勝ち上がってはいるが、そこで川崎に敗れている。
今シーズンの B.LEAGUE での直接対決を見ると、現在東地区 1 位の宇都宮 が、同地区 6 位の A 東京を 3 勝 1 敗でリードしている。しかし直近の直接対 決、1 月27日 (水) の試合では A 東京が24点差で宇都宮を下している。
お互いディフェンス力に定評があるため、いかにお互いのディフェンスを 崩していくか。悪い流れを最小限に抑え、勝負所での決定力を高められる か。第 1 試合から熱いゲームが期待できそうだ。
セミファイナル第 2 試合は川崎と三河が対決
前回大会で準優勝の川崎だが、同じく天皇杯制覇という視点で見れば、6 年間も離れている (前回優勝は前身の東芝神奈川。第89回大会)。一方で、その優勝から今大会までの 6 年間、ベスト 4 を逃したのは 2 年前の第94回大会だけ。そのときは天皇杯で 3 連覇を達成した千葉ジェッツに敗れたのだが、今回は 3 次ラウンドでその千葉を破って、ファイナルラウンドに進出している。
唯一 B.LEAGUE 西地区からのファイナルラウンド進出チームとなった三河は、5 年前の第91回大会で天皇杯を手中に収めている。むろん選手構成は当時とまったく違うが、長年チームを率いる鈴木貴美一ヘッドコーチは一発勝負の勝ち方も心得ている。前回大会はクォーターファイナルで滋賀レイクスターズに敗れる苦さも味わっているだけに、捲土重来を期している。
両チームの今シーズンの B.LEAGUE での直接対決を見ると、東地区 3 位の 川崎が、西地区 2 位の三河に 3 勝 1 敗とリードしている。直近の試合 (2 月 6 日 (土)、7 日 (日)) でも川崎が連勝をしている。その結果が今回のゲームに どんな影響を与えるか――。
伝統的にディフェンスからチームを作る川崎に対し、今シーズンの三河は オフェンシブなチームを自認する。いわゆる「盾と矛」の対決だが、川崎も 決してオフェンス力がないわけではない。三河も同様にディフェンス力が低 いわけではない。勝負所でいかに自分たちの “ 色 ” を濃く出せるかが、勝敗を握るだろう。
天皇杯における近年の戦績、B.LEAGUE での現順位や直接対決などを示したが、天皇杯のおもしろさは、それらをすべてゼロにして、一発勝負という緊張感のなかで戦うところにある。リーグ戦とは異なる緊張感、いつもの会場とは異なるビッグアリーナ。内なる緊張感と戦いながら、いち早く自らを取り戻したチーム、選手に天皇杯は下賜されるのではないか。密を回避する日々は続くが、第96回天皇杯のファイナルラウンドは濃密な 2 日間になりそうだ。