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【皇后杯ファイナルラウンド展望】ENEOSの 8 連覇か、それとも新しい女王の誕生か

2020年12月14日

 12月16日 (水) から20日 (日)まで (※18日は休息日)、「第87回
皇后杯 全日本総合バスケットボール選手権大会 (以下、皇后杯)」
のファイナルラウンドがおこなわれる。
 会場は2017年、第83回大会の準々決勝以来となる国立代々木競
技場第二体育館。1964年の東京オリンピックでバスケットボール
会場として作られた「バスケットボールの聖地」に皇后杯が戻っ
てきたわけである。昨年までのさいたまスーパーアリーナと比較
すれば決して大きくはないが、すり鉢状の同会場はバスケットボー
ルの臨場感をたっぷり味わえるアリーナだ。

 今大会の注目はENEOSサンフラワーズの連覇が更新される
かだろう。目下 7 連覇中。長い歴史のなかでも、それほどまで連覇を重ねてきたチームは、1965~1972年にユニチカ山崎 (会社合併により、1970年にニチボー平野からチーム名変更) が達成した 8 連覇以来。エースの渡嘉敷来夢を中心に、その 8 連覇の大記録に挑戦、通算25回目となる皇后杯獲得を目指す。
 そのENEOSに初戦で挑むのは富士通 レッドウェーブ。前回大会はセカンドラウンドで敗れ、ファイナルラウンドに立てなかった。町田瑠唯、篠崎澪を中心としたトランジションバスケットでどこまで女王に迫れるか。
 デンソー アイリスは、女子セルビア代表のヘッドコーチも務めるマリーナ・マルコヴィッチをヘッドコーチを招聘して臨む初めての皇后杯。それでも髙田真希、赤穂ひまわり、移籍加入した本川紗奈生ら、経験のあるタレントは揃っている。前回大会のファナリストは、今年こそENEOS越えを叶えたいところだろう。
 そのデンソーと初戦で戦うトヨタ紡織 サンシャインラビッツは、近年めきめきと力をつけてきている。若きエースの東藤なな子、オールラウンダーの加藤優希ら、どこからでも得点を取れるのが魅力だ。
 三菱電機 コアラーズは総合力で戦うチーム。伝統ともいうべきゾーンディフェンスでどこまで相手を苦しめられるか。オフェンスではガードの渡邉亜弥、シューターの根本葉瑠乃、センターの西岡里紗と多彩な攻撃を仕掛けてくる。
 初戦で三菱電機と対戦する日立ハイテク クーガーズは、W リーグの前半戦で最も飛躍したチームと言っていい。移籍をしてきた谷村里佳を中心に据えることで、周りの選手にも躍動感が生まれてきた。かつて女子日本代表やJX-ENEOS (現ENEOS) を率いた内海知秀ヘッドコーチの手腕にも注目したい。
 アイシン・エイ・ダブリュ ウィングスは前回大会に続き、予選ラウンドで W リーグの上位チームを倒してのファイナルラウンド進出となる。W リーグの西地区では 1 勝 9 敗と大きく負け越しているが、トーナメントの皇后杯では勢いも重要な要素となる。エースの宮下希保を中心に、今年こそ初戦を突破したい。
 そのアイシン・エイ・ダブリュと対戦するのが、W リーグ西地区で首位を走るトヨタ自動車 アンテロープス。長岡萌映子、馬瓜エブリンら女子日本代表クラスを多く抱えるタレント集団だ。女子スペイン代表を率いるルーカス・モンデーロヘッドコーチ体制2年目の今年は、皇后杯も十分に狙えるはずである。

 天皇杯との同時開催ではなく独立開催となった皇后杯。12月開催、代々木第二体育館でのファイナル、そしてコロナ禍と例年とは大きく異なる環境だが、各チームが目指すのは例年と何ら変わりはない。日本最高峰の女子バスケットボール・トーナメントは、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたこの 1 年の重苦しさを、熱く吹き飛ばす戦いになるだろう。

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